この話は万人に適した話とは思っていないのでその前提で。バックアップのコストや使い勝手を言えばUSBHDDが一番優れているし、手軽さを言えばDropboxやSugarSyncの方が優位。ただ、USBHDDは紛失や天災での消失リスクがあるし、Dropboxは機能過剰でコストメリットが薄い。そういう話。
Amazon S3で個人データをバックアップする
データバックアップの重要性というのは職業柄よく分かっていて、やまほど持っているデジカメの写真やiTunesのデータをどうすればいいのか、いつも悩んでいる。
iTunesの方はiCloudに期待するとして、デジカメの写真、これが問題。ほぼ日記のように写真を撮りまくり、ほぼすべてを残していて消したくない。これが失われたら喪失感は巨大だと思う。なにしろ妻と出会ってからの思い出、子供が生まれてからの思い出が全部なくなってしまう。
どういうサービスがいいのか
データを外部に預けるといえばDropbox、あるいはsugarsyncというところだが、あれらはバックアップというよりは複数デバイス間でのデータ共有ツール。データの更新履歴が取れるとか、ほとんど内容が変化しないデータをアップロードするにはオーバースペックのサービスだし、それ相応に高価。要はもったいない。実際、これらのサービスはデータ同期サービスと称している。
ただデータを自宅外に安全に置いておきたいだけなのだ。用途が違う。それなのに、全デバイスにデータを同期するとか、更新履歴が取られるとか、そういうのは不要。その分のコストは払いたくない。使い勝手も多少は犠牲にしていい。
ただし、サービスの信頼性は重要。バックアップなのにいつの間にかデータがなくなっていました、では話しにならない。
サービスの継続性も重要で、いくら価格が安くても二番手、三番手以下のローカルサービスはいつサービスが終了するか分からない。
そういう場合に、Amazon Web Services、AWSのS3。Dropboxがバックエンドで使っているストレージサービスそのものなのではあるが。
価格
S3は1GBを1ヶ月保管して0.13$(東京リージョン価格)。データ操作、データ読み出しにもコストが掛かるが、単純なバックアップ用途ならそのあたりは無視できる。例えば100GBなら
となる。なお、SugarSyncだともっと容量を増やすと逆転するのだが、S3にもデータの信頼性を下げて価格を下げるRRSというオプションもあったり、北米リージョンならさらに安いとかいろいろあって、とりあえず100GBで比較してみた。
使い勝手、クライアントソフト
使い勝手はS3の惨敗。何しろクライアントソフトはFTPライクなもの(「S3 explorer」、「S3 browser」)しかない。Windowsに統合するタイプ「TNTDrive」というのも出たが無償ではない。
元々そういう使い勝手は要らないから安く、というのが今回の話題の基本コンセプトなのだから問題なし。
信頼性
S3の信頼性はイレブンナイン。Amazon自身もよく言うのだが、1万個のファイルを保存したとして、その中の1個が失われるのが1000万年に1度、という確率。とんでもない。上記のRRSを使うと99.99に落ちるのだが、これでも「バックアップ」という用途には十分だろう。
バックエンドにS3を使っているDropboxも同じ信頼性を持っているだろう。だろうというのは、例えばさらにAzureStorageにも同じデータをコピーする、なんてやっていればS3以上の信頼性も得られるし、逆にRRSを使ったり重複排除技術を使うなど違う概念を挟めば信頼性は下がる。これをどうやっているのかが部外者には分からないから。SugarSyncの方はもっと分からない。
可用性、という意味では独自のインタフェースが間に入るDropboxやSugarSyncは劣るのだが、S3にも同じ事情があるようだが詳細は分からない。
継続性
これはS3が一番高い。AWSはサービスの継続性をまったく保証していないのだが、実質的にはサービス停止をするはずがない。エンタープライズ向け利用でよく問題になるのだが。
Dropbox、SugarSyncともにあまり問題はない。が、もっと革命的なサービスが出てくるとか、オペレーションをミスってデータを流出させたとか、そういうアクシデントがあれば分からない。実際、ZumoDriveというサービスはDropboxよりさらに進んだ機能があり注目されたが、今年5月でサービスを終える。
まとめにもならないまとめ
まぁ、S3が良いというそれほど決定的な理由もない。ただ、なんでもかんでもDropboxじゃないよ、もしかしたらS3もいいかもよ、というお話。